女性の貧困化が深刻な問題となっていますが、20代、30代、40代…と世代によって貧困の要因や背景が変わってきます。
ここでは、20代女性の貧困について、その原因や男女間で見られる収入の違いについて解説します。
20代の女性の貧困率は?年収や貯蓄など生活の実態
ここでは20代女性の経済状況を解説します。
平成24年版「男女共同参画白書」 によると20代女性の貧困率(収入から税金や社会保険料を引いた可処分所得を高い順に並べ、中央の額の半分に満たない人が全体に占める割合)は15%を超えているのです。その理由はどこにあるのでしょうか。
20代男女の平均年収は?
はじめに20代女性の平均収入を確認してみましょう。以下の年齢階層別の平均給与を表した図をみてください。
(引用:国税庁 平成29年分「民間給与実態統計調査」)
20~24歳までの女性の平均給与は243万円、25~29歳までの女性の平均給与は318万円となっており、いずれも同年代の男性より低いことがわかりますが、30代、40代と年令を重ねていくほどその差は大きくなっています。
男女ともに10代後半から20代前半に就業する場合が多く、入社時の給与に大きな差がないためです。
しかし25~29歳のデータからわかるように、社会に出てからの年数が経つにつれて女性と男性の収入に開きが出てくることがわかります。
女性の非正規雇用の数
なぜ男性よりも女性の給与が低い水準にあるかというと、一つは女性に非正規雇用者が多いためです。
20代男女の非正規雇用の割合については後述しますが、上の図においても女性の給与が男性のものと違い、歳を重ねるごとに増えていないことから多くの女性が出産を見越すなどして非正規雇用という選択をしている可能性も考えられます。
昇給の違い
もう一つの理由としては昇給の幅の違いも挙げられます。
平成28年度「雇用均等基本調査」によると、課長相当職以上(役員も含む)における女性の割合は12.1%となっています。
このように現代日本における女性管理職の割合は低いのです。
その結果、女性が正規雇用で働いていても昇給の幅が小さくなり、最終的な男女の給与格差につながります。
20代男女の非正規雇用の割合は?
男女の非正規雇用者の割合を確認してみましょう。以下の図をみてください。
(引用:男女共同参画局 「男女共同参画白書 令和元年年版」,2019)
このように非正規雇用で働く女性の割合は男性をはるかに上回っています。
15~24歳については男女ともに高い割合ですが、それは高校生や大学生のアルバイトが含まれるためです。
25歳~34歳の男女の非正規雇用割合を比較すると、女性は男性に比べ2.6倍も高いことがわかります。
このように、若い時期であっても非正規雇用で働く女性が多いことがわかります。
これが男女の給与格差を生み出しています。そして一部の非正規雇用の中でも収入の低い一部の女性が貧困層となってしまうのです。
- 20代女性の貧困率は15%を超えている。
- 社会に出てからの年数が経つにつれて女性と男性の収入に開きが出てくる
- 一部の非正規雇用の中でも収入の低い一部の女性が貧困層
(出典:男女共同参画局 「男女共同参画白書 令和元年年版」,2019)
20代男女の貧困率は男性の方が高い
女性が貧困に陥る要因として女性を取り巻く労働環境が上げられますが、20代の貧困率は男性が女性を上回っていることが分かります。
以下の図は男女別・年齢階層別相対的貧困率を表しています。
(引用:男女共同参画局「平成24年版 男女共同参画白書」)
20代までは女性よりも男性の方が貧困率がわずかに高いのですが、30歳以降は男女の貧困率が逆転しています。
男女間の給与格差は常に男性の方が多く、年代別だと20代前半までは年収で約40万円ほどの差なのですが、20代後半で約75万円、30代前半で約150万円、50代では375万円と差は広がる一方です。
女性の方が収入が低いものの、両親と同居することで居住費や生活費を節約したり、結婚して夫の収入により生活が維持されていることでわずかではありますが、20代の貧困率は女性の方が低くなっています。しかし、このいずれでもない1人暮らしの女性は、自分の収入だけで生活しなければならず貧困に陥ってしまうのです。
- 20代の貧困率は男性が女性を上回っている
- 30歳以降は男女の貧困率が逆転
- 女性の方が収入が低い事実があるものの、貧困率は男性の方がわずかに高い
(出典:平成24年版「男女共同参画白書」)
20代の女性が貧困になってしまう原因は?
ここまでの内容をまとめると20代の女性が貧困になってしまう背景として20代女性は非正規雇用で働く人が多いことが関係しています。
ではなぜ20代女性は非正規雇用を選択するのでしょうか。その背後には複雑な問題が絡み合っています。
女性の結婚・出産
一つ大きな理由として挙げられるのは、女性が結婚・出産によって正規雇用で働くことを辞めてパート・アルバイトになることです。
そのため結婚・出産を機に収入が大きく減る女性が多くなります。
正規雇用であることを辞める要因として、多くの企業で結婚・出産に対するフォローがいまだ適切にできていないという事情も絡みます。
特に中小企業の場合は、出産=退職という図式が今なお残っている場合があったり、産休・育休を取得する人への理解が得られていなかったりするのが現状です。
女性の貧困については単に「結婚・出産後も女性が正規雇用で働けば良いだけ」とは言えないのです。
離婚
また、結婚・出産を機に正規雇用を辞めた後に離婚し、シングルマザーとして子どもを育てなければならないケースも少なくありません。
20代で離婚した場合は子どもが小さかったり小学校を卒業していないことが多いため、再び正規雇用として働くにはハードルが高いという要因もあります。
2016年では離婚が原因でひとり親になった母子世帯は8割を超えています。
このような状況になる平均年齢は、シングルマザーが33.8歳、この方々が育てる子どもの末っ子の平均年齢が4.4歳となっています。
小学校に入学前の子どもがいることから、シングルマザーとなった女性は必然的に子育てに充てる時間が必要となるため、正規雇用の仕事にも就きづらい状況が生まれてしまいます。
時短勤務が認められている企業であれば大きな問題はありませんが、先述の通り福利厚生が未だ対応できていない企業も多いのが現状です。
そのため、やむを得ずパートタイマーやアルバイトとして生計を立てることにつながります。
- 女性が結婚・出産によって正規雇用で働くことを辞めてパート・アルバイトになることが多い
- その後離婚してシングルマザーとなると再び正規雇用となるのが困難
- 子どもが小さいうちに離婚するケースが多く、時間の融通が効くパート・アルバイトなどに就く場合が多い
(出典:厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査(ひとり親世帯になった時の親及び末子の年齢),2016」)
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